店舗と本部が一体となった発注DX推進の成功裏話と今後のビジョン
- 発注業務の属人化、経験値によるばらつき・ミス
- 発注業務時間の削減、人的ミスの削減
AFURI株式会社 アシスタントディレクター 板橋 隆太様
- サービスHANZO 自動発注
- 課題業務効率化 | 属人性解消
- 業態ラーメン
- 店舗数1〜20
目次
事業内容とイントロダクション
AFURI株式会社は厳選された鶏や魚介、香味野菜などを用いて、じっくりと炊き出す黄金色のスープが特徴のらーめんを提供する「AFURI」を17店舗展開。今回は2023年から「HANZO 自動発注」の導入を開始している中、店舗での定着・活用に向けて推進をしてくださっている本部のお声と、実際に店舗で利用されている店長のお声をお伺いしました。
※2024年7月時点の情報です
経営目線による導入までの意思決定や導入前の課題はこちら
https://hanzo.goals.co.jp/case/order/afuri_dx
本部から見るDX推進への険しい道のり
板橋:私は店舗での運営課題の発見や、経営目線からのAFURIで体現したいことを店舗に伝える、店舗と経営の間に立って物事を推進していくような立場で、以前から店舗向けのDXツールの導入には前向きに取り組んでいました。ただその中でもうまく定着したものと、AFURIとしては上手に活用できないと思って導入を断念したツールもあります。本部が良いと思うツールが店舗にとっては違うこともあるということに気づきました。
元々あるものを置き換えるツールと、全く新しい施策を行うためのツールとは導入できるハードルの高さが違って、置き換える形であると大体スムーズに導入しやすいです。
今回は新しい施策も含めて「HANZO 自動発注」(以下、HANZO)の導入をしていますが、社内でも進め方を練って、用意周到に推進できたことが定着した大きな理由だと感じていて、他の定着には至らなかったツールも同じ様に進めていれば活用できていたかもしれない、と気づきもありました。実際に発注業務を担う店長たちから聞く使用感についても反応がいいです。
HANZOがないと困るだろうなと思う大きなポイントとしては、在庫の量って実は常に頭の中で考えているんです。通常ランチタイムとディナータイムの間のアイドルタイムに発注を行うことが多いですが、ランチの営業中に「あの食材をどのくらい使ったな」「あの食材が使われているメニューが注文されたな」とか覚えておく方が元々の発注手法ではスムーズだったので、意識は常にあって。今では随時在庫がHANZOに反映されるので、考える必要がないことは他の業務に集中できる点で大きなメリットなので、HANZOがないと困るんですよね。
ただ発注数量の算出や在庫の考え方は理解した上でHANZOを取り扱うべきだとは思うのでそのあたりはきちんと念頭におかなければなりませんね。
利用者から推進者へ
店長として・全店への導入推進者として、両面から見るHANZO導入
江口:私は南町田グランベリーパーク店の店長であるとともに、現在ではHANZOの導入推進の役割を担っています。
発注を自動化するツールの導入を会社が決定した際は大変喜びました。やはり店舗からすると発注って面倒なんですよね。導入前は表計算ソフトで作成されていたフォーマットを印刷してから頭の中で翌日・翌々日の必要数量を計算して記入するアナログな手法をとっていました。同じ店舗内でもその日の発注担当者によっては「心配だから多めに発注しておきたい」「最低限に留めたい」など思考がそれぞれ違うので、発注担当者が異なると在庫量のぶれも大きくなります。基本的には在庫量から使用量を引いて補充するための発注量を決めるのですが、手計算だし、算出手法が統一できてないこともあります。基本的には店舗内では認識を擦り合わせて対応してもらっていましたが、発注のばらつきは無用な人間関係のずれを生じさせてしまうこともあるので、統一していくことに意義は感じていました。
最初は店長として本部からHANZOについて概要の説明を聞いたときは、仕組みや使い方で理解しきれないことも多くありました。他店舗への導入推進に関わる中では、その経験も踏まえてGoalsの担当者様とお話しして理解が進んだことで推進方針や方法を探っていきました。
店長に伝達する情報を、そのまま伝える情報・部分的に伝える情報・段階別に伝える情報・噛み砕いて伝える情報などと区切りをつけ各店ごとに取捨選択しています。自身ではAIに学習させる過程を楽しんで進められたのですが、やはり営業しながらだと難しいと感じる担当者もいるので、一気に情報を全部伝えていくよりは効率的だと感じました。伝えていくなかで新たに発生した疑問点はGoalsの担当者様に都度伺って解決していましたが、たまに自分がどこまで担当者に伝えたのかわからなくなる時もあり、その際は多少混乱したこともあったのですが、全体的には上手く進められたと思っています。
本部が感じている導入効果
板橋:ロスの減少は感じています。また品切れについては元々ないように発注していて、それでも出る場合は他店舗から借りていましたが頻度は減少しています。その他、発注ミスや修正で発生するセントラルキッチンでの業務負担も軽減している他、元々行っていた印刷業務など細々とした作業もなくなったので、全体的なコスト削減には繋がっていると実感しています。
また本部が全店舗の在庫状況を遠隔で確認できるようになったので、適正値ではなさそうな在庫量を持っている店舗は設定の見直しができたり、発注数量と在庫が合わない店舗はオーバーポーションしているのではないか、など運営上の課題を見つけやすくなりました。HANZOはメニューで使用する分量を正確に把握して、販売数も管理し理論的には在庫とずれないので。例えばらーめんのメンマの量が10gほど違ったとしても、お客様が気づくことはまれかもしれませんが、やはりお客様に提供する商品は公平でなければいけないと思いますので、気づきが即時にできることは大きなメリットになっています。全ての店舗の冷蔵庫の状態が可視化できている状態ですので、各店舗に訪問して冷蔵庫チェックして色々な課題をそこから探るより効率的で有難いと思っています。
本部が思う今後の期待
江口:HANZOを中心に色々と施策を広げられるとよりいいのかなと思います。例えばセントラルキッチン自体での発注の自動化や仕込み量の最適化などにも繋がっていくと思います。適切に食材を会社全体で取り扱っていくことで、より鮮度の高い食材を利用してお客様に商品を提供できる流れを作れると思っています。
店舗から見る導入から活用
時間と労力がかかっていた発注業務
写真右:AFURI 三軒茶屋店 店長 湯浅 良輔様
湯浅:多くの店舗は昼と夜の営業の間のアイドルタイムに対応するのですが、発注の際は都度在庫を確認して、翌日に納品される数量と照らし合わせながら発注表に記載していました。売上の見積もりは店長の経験に頼る側面が大きくて手法は統一しきれていないのが実態でした。
山澤:納品リードタイムを加味して2日後まで考慮する必要があるので、今日の納品数量・今日の使用量・明日の納品数量を頭の中で計算することは大変ですよね。それこそベテランはパッとでるんですけど。大体の人は30分以上かかって、1時間程度かかる店長もいると思います。
湯浅:その日の営業終了後に発注する場合は、使用量が確定しているので多少は予測の精度が上がるものの、帰宅する時間が遅くなってしまいます。
山澤:その他にも人が対応することではあるので、入力ミスや発注忘れなども発生することもしばしばありました。他店舗から分けてもらうか、買い出しにいくかなどで対応しなければならないので、社内でも課題意識は高かったと思います。
「AIによる自動発注」に対する不安や疑問
湯浅:AIって聞いて私自身が馴染み深くはなかったので、使いこなせるかは不安がありました。実際に機能や使い方の説明を受けてからはスムーズな発注業務ができるイメージが沸いてきました。また他の店舗スタッフへの発注における教育も統一して行えると感じます。
山澤:私は本音で言うと、AIが人間より正しい発注ができるのか疑問を感じました。正直「自分の方が当てられる」という自信もありました。その後説明を受けて理解をすれば難しいことはなくて、快適に使いこなせています。画面もシンプルで使いやすいと感じています。
湯浅:社内で導入を推進してくれている江口の説明からスタートしていて、少しずつ理解をしました。最初から全ての機能などを説明されても理解しきれなかっただろうと感じるので、進め方はよかったと思います。
現場で感じる導入の効果「圧倒的な時間削減」
山澤:現在では10分もかからずに完了しているので、圧倒的に発注業務時間の短縮を感じます。発注ミスの大幅な減少、発注業務に触れてこなかったスタッフでも簡単に活用することができるなどの効果も得られています。
湯浅:ほぼ同じことを思っています。まだ他のスタッフが行った場合はさらっと確認をしている状態ではありますが、発注をできるスタッフは増えています。
山澤:短縮できた時間は接客に活用しています。営業中に発注していると気づきが薄くなってしまう可能性もあるため、気を張っていましたが、お客様とのコミュニケーションや接客に集中できて助かっています。また他の業務にもより早く対応できるので、作業の効率も上がっています。