駅ナカ店舗がさらなるブランド力向上に向け、「HANZO 自動発注」の利用を開始する背景とは
- バックヤード業務の工数過多
- QSCAの向上、ブランド力の向上
株式会社ジェイアール西日本フードサービスネット 店舗事業本部 イノベーショングループ リーダー 兼 事業企画部 経営企画グループ 遠藤 大輔様
- サービスHANZO 自動発注
- 課題業務効率化 | サービス向上
- 業態カフェ | うどん・そば
- 店舗数21〜50
目次
事業内容とイントロダクション
株式会社ジェイアール西日本フードサービスネットは、JR西日本グループの飲食事業を担い、駅構内を中心にさまざまな飲食店を展開しています。今回、DXの推進を中心的に進められている店舗事業本部のみなさまにDXの取り組み方針や、直営店のなかでも「麺家」・「デリカフェ」業態へ「HANZO 自動発注」を導入する経緯についてお伺いしました。
※2024年5月時点の情報です
DXはあくまで目的達成に向けた「手段」
DXの取り組みと「HANZO 自動発注」の導入を決定した背景を教えてください
DXを本格的に推進し始めたのはコロナ禍明けが見据えられた2023年頃です。それまでもDXを考えていなかったわけではないですが、需要の回復や人手不足が今後見込まれる中で何をするべきかを考え始めました。
DXの推進というのは聞こえはいいですが、「そもそもDXって何?」というところから検討をする必要があります。弊社では本来達成すべき目的があった上で、手段としてAIや機械などのシステムを導入することがDXだと思っています。
コロナ禍中から飲食店が苦境に立たされるのはわかっていたこともあり、生き残るために何をするべきか検討する中で、お客様にさらに「おいしい」と思ってもらうことや、満足いただくサービスを提供するなど、加速度的に「自力」の部分を伸ばす必要性がありました。
弊社は鉄道会社のグループ企業で、駅の構内を中心に出店しているため、1日何万人もの流入がある、飲食業界では羨望されるような場所の店舗も多くあります。良くも悪くも、ある程度自然に集客ができることで、積極的な販促を行う力が入りきっていなかったと課題を感じました。課題に向けた施策を本部主導で考えても店舗が対応できないなどが懸念されるため店舗主体で取り組む必要がありますが、店長の業務負荷が大変重いことが壁となりました。商品開発や品質管理、販促の企画やポスター作成に加え、労務管理、発注、在庫確認、報告書の作成、売上・利益の向上、人手不足への対応など、他企業のチェーン店に比べても店長が行うべき業務が多く、SVも含めてお客様に向けたサービスに時間がかけにくい状況でした。その中で、発注業務は店長の業務における優先度が非常に高い仕事ではあるものの、システムに任せることで本来注力すべきお客様に向けた業務に時間を割くべき、と思い「HANZO 自動発注」の導入を決定しました。
今回、「麺家」・「デリカフェ」の2業態に導入していますが、最終的に達成すべき目的は同じものの、業態ごとに多少事情が違います。
「麺家」はオペレーションが比較的統一化されていて、各店舗の規模がそこまで大きくないので発注にかかる時間は30分程度です。ただ、スタッフが2人しかいない中での30分だと1人で接客する時間が発生することもあるため、サービスに注力することが難しい場面もあります。そのため、発注業務を自動化することでスタッフが接客や料理の提供に対するQSCA向上に取り組めるような環境を整えたいと考えたことから導入しました。
「デリカフェ」は、主要ターミナル駅、乗り換えの接続駅、ベットタウン駅などターゲット層が異なる立地で出店しているなかで、同じデリカフェという屋号を持ちながら、それぞれの場所のターゲットに合わせてサービスを提供するため、「デリカフェ・キッチン」や「デリカフェ・エキスプレス」などの名称を分けたり、店舗独自でメニューを開発している場合もあります。それは各店舗で売上をあげるための手段ではありますが、「HANZO 自動発注」の導入をきっかけに、各店舗のメニューをデータで可視化するかつオペレーションの統一を図り、今後は同じ食材で同じメニューを提供を目指すことで「デリカフェに行ったら、あのメニューが食べられる」などチェーン店が本来持つべきブランド力を向上できれば、と思っています。
今後も導入して終わり、にしてはいけない
導入決定に対する社内での反応はいかがでしたか?
経営陣はDX自体を進めていくことには前向きでした。QSCAの向上は売上の向上にもつながるということで、需要回復が見込みがわからなかった時期から期待値は高いです。
一方店舗では先ほどのオリジナルメニューがあるなどもあり「本当にできるのか?」という疑問もありました。ただ、導入までに説明会の開催や、個別の疑問の解消があったりして、現場も人手が足りないことや、時間数が足りないなどもあるなかで段々前向きになっていった感覚はありました。
導入直後に感じられていること
導入初期でもあるため、大きな効果はまだ先だとは思います。ただ、今まで適正在庫を算出して一覧化した紙を印刷し、在庫の確認や発注数量の算出をしたものを記入後、パソコンに転記する作業を行っていたため、一連の流れをタブレット端末で対応が完了する点については楽になったと店舗から反応がありました。
実はこの点が導入した理由の重要なポイントで、弊社の場合、「見た目」の効果がわかりやすいんです。現場で「発注表がなくなって印刷やファイリングの手間がなくなった」など行動の変化によって効果を実感します。
本部としてQSCAの向上という目的を掲げ、接客に注力できないボトルネックを解消するために「HANZO 自動発注」を導入した結果として、店舗が効果を感じ前向きに捉えてもらうことで、初めて次のDXに進めます。この部分がわかりにくいと「DXってやっている意味あるの?」となってしまいます。本部も導入して終わり、ではなく新しいことを定着させて、活用してもらうために頑張らないといけないなと思います。
店舗のお声 「麺家 新大阪上り店」
最初導入されると聞いた時は、普段タブレットを利用しないこともあり、操作に不安がありましたが慣れたと思います。また、導入前はフォーマットが印刷された紙に在庫などを記入し、パソコンに入力していました。ただ駅のホームにある店舗と駅構内のパソコンがある事務所は距離があり、一時的に店舗から離れるため店舗の状態がわからず忙しくなったときの対応が難しい場面もありました。「HANZO 自動発注」は店舗内で発注が完了できて楽ですし、すぐに手を止めて店舗業務に入れるので便利だと思います。
今後効果を発揮していくために
店舗事業本部 イノベーショングループ リーダー 兼 事業企画部 経営企画グループ 遠藤 大輔様(写真左):
「DXの目的は何か」という部分が段々ぶれてくると導入することが目的になってしまいます。その結果、本当は楽になるはずなのに仕事が増え、嫌になり結局やめてしまう。何のために費用と時間を費やしたのかわからなくなります。現在は導入初期段階ではありますが、これから発注時間の短縮などの効果を目指していくために、最初に目的の意思疎通と導入後の景色を会社全体で共有することが重要だと思います。
店舗事業本部 イノベーショングループ 松谷 祐輔様(写真中央):
導入と直接的な部分ではないですが、導入を始めるにあたって店長や地区店長と連絡を取り合うことが今まで以上に増えています。本社主導で現場を変えようとした時に、初めて生まれるコミュニケーションがあり、これを機に現場の声も聞こえてきたことで気付きも多かったし、現場も本社に今まで伝えられなかったことを伝えられたと社内で繋がったのが実は結構意味があったと思います。
店舗事業本部 イノベーショングループ 黒須 珠実様(写真右):
導入の準備自体は店舗とコミュニケーションを重ねる必要があり、お願いすることも多く、意思を繋いでいくのが大変な場面もあります。ただ店舗の負担を軽減して、その代わりに従業員同士やお客様とのコミュニケーションでできることを考えてもらうために今は時間を割いてもらう、というように意識して取り組むことで有意義なものになるのではないかと思います。